開業50周年にあたり

駅長

菅原貞志

南仙台駅が大正13年9月10日、陸前中田駅として開業いたしまして50年。
7年間の陳情、請願の末、開業の偉業を成さしめた先人の功績と、全村挙げての当時の歓びを偲び、実行委員長と委員の皆様のご尽力により、初秋9月8日多数の来賓の皆様そして300名に及ぶ地域の皆様のご臨席を頂きまして、開業の式典を盛大に挙行いたし、記念行事として駅広場に記念植樹、そして記念誌を発行できますことは誠に喜びにたえないところであります。
南仙台駅の50年のあゆみは、終戦の処理によりましてその明細を知ることはできませんが、開業早々の昭和4年には貨物の取り扱いも開始され、地区内より生産された米、野菜、紙の輸送が活発となり、昭和6年には一日15車の貨車が発送された駅。昭和10年の交通量調査で、自動車6、牛馬車79、牛馬9、荷車リヤカー94、自転車460、徒歩者938が往来した柳生高舘地区に通ずる西浦踏切のある駅。戦争が激しくなり出征兵士を日に日に送った駅。終戦となり戦火に残された“ふるさと”に帰還の父と子を迎えた駅。
戦後の復興が進み、県都仙台市のベットタウンとして地区内に団地が急増し、昭和40年には遂に1日の定期券乗車人員が1,000人となった駅。昭和38年には陳情により南仙台と改称された駅。昨昭和48年には特急ひばりの増発に伴ない、夜間の電車留置と列車待避線の工事が完了し、1日の列車回数が300回となり、1日の乗車人員が開業当初の5倍に及ぶ1,700人となった駅。
この発展はとりもなおさず地域の発展そのものでありますことは申すまでもございませんが、地域の皆様と共に歩んできた駅。地域の皆様の暖かい愛情で育ってきた駅でございます。
この50周年を期に、私達職員12名が先輩の残された功績と伝統の駅をしっかりと守りつづけ、21世紀の鉄道に引きつぐべく、日夜安全輸送と親切な駅づくりに努力致しておりますことをお伝え申しあげて地区内の限りない発展を祈念致します。

昭和49年9月8日

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