式辞

南仙台駅50周年記念行事実行委員長

太田藤吉郎

本日南仙台駅開業50周年式典を挙行いたしましたところ、ご来賓の皆様始め地域の代表者多数ご参列をいただき、盛大に挙行出来ましたことを厚く感謝の意を表します。
先刻第一会場の南仙台駅舎前に高橋新一氏より寄贈された貝塚いぶき及びさつき等を記念植樹いたしました。
南仙台駅は大正13年9月10日に陸前中田駅として開業いたしましたが、その以前には南の方に旅行するには名取駅(旧増田駅)まで行かなければならず、また北の方に旅行するには長町駅まで行かなければならない不便さがあったので、大正7年当時の中田村村長菅井繁守氏は高舘村村長佐伯忠治氏と共に一致協力して停車場設置の運動を起し、再三再四にわたり陳情に陳情を重ね東奔西走、また当時国会議員であった菅原伝氏の協力で大正13年停車場設置、同年9月10日に開業されましたが、実に7年間の長い歳月を要したので、我々の先輩は一方ならぬ苦労と努力を積み重ねたのであります。
そもそも停車場設置を初唱されたのは、柳生の佐藤亀八郎氏、町の加藤金之助氏、川村幸作氏、袋原の太田伊平治氏の諸氏であり、また蔭に陽に東奔西走されたその他の先輩にも敬意と感謝の誠を捧げます。
駅の面積は約3,480坪で、工事費は約77,000円を要して完成したので、最初は旅客専用駅として発足したが、その後貨物を扱い(白菜、人参、午芽、その他野菜類・米・木材、紙等)特に名取川より採取した砂利を鉄道局管内各駅に輸送して線路用に使用したことは最も有名でありました。過去50年間、地域住民に与えた利便と文化発展に寄与した南仙台駅の存在は甚大であります。
その後陸前中田駅を南仙台駅と改名することになり、故人となられた手塚蔵治氏及び当時国会議員竹谷源太郎氏の努力が実って、昭和38年改名されたのであります。
本日南仙台駅開業50周年記念式典を第2会場の中田公民館で開催に際し、開設当時関係された先輩諸氏並びに50年の間勤務された駅員各位に厚く謝意を表して式辞といたします。

昭和49年9月8日

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